こんにちは、taikiです。
読者の方からジョジョの奇妙な冒険を大人斬りしてほしいとリクエストがありましたので、チャレンジしてみようと思います。
今回のチャレンジにあたって、久しぶりに3部から読み直しました。
日本を出発したジョースター御一行は、エジプトに到着し、クライマックスであるディオとの戦いに入っていきます。そのディオとの直接対決の際にディオの会話で、「こ、これは!?」と思うシーンがありましたので取り上げてみたいと思います。
会話から読み解くディオから見たジョジョ軍団
問題のシーンは、ディオが部下であるヴァニア・アイスとの会話のシーンです。
この会話を切り口にディオを読み解いていきましょう。
死んでもいいという覚悟を恐れていた
ディオは、死をも恐れないジョジョ軍団に対して、こんなことを言いました。
ダービーのヤツは忠誠を誓うといっておきながらこのDIOの為に死んでもいいという覚悟ができていなかったということだ・・・
『死ぬ覚悟がある人間は強い。覚悟がなかったダービーは負けた。』とディオは言っています。
ディオがジョースター御一行に対して散々刺客を送り続けた理由は、死ぬ覚悟がある人間✕5人(イギー除く)となるとさすがのディオでも危険だと思ったのでしょう。
↑ジョジョ軍団を苦しめたが敗北したダービー:
この「死ぬ覚悟がある人間の恐怖」について考えるように至った経緯は、時代背景、ディオの育ち、ディオ復活後の行動から1つの仮説が導かれます。
それは日本の武士道です。
ディオは『葉隠』を読んでいた?
ディオは1867年生まれで、1889年にジョナサン・ジョースターと共に海底に沈んでしまいました。
1867年と言えば日本では大政奉還であり、1889年と言えば大日本帝国憲法ですね。日本とディオの祖国イギリスとの関係で言えば、ノルマントン号事件(1886年)から不平等条約改定、1902年の日英同盟と流れていきます。
そして1983年にディオは長い眠りから目を覚まし、再び活動をはじめます。1988年に承太郎との戦いに敗れるまでに5年の活動期間がありました。この際に、多くの人に会い、文明に触れています。当然長い眠りについていた間に何が起きたかをキャッチアップする為に書籍も読んだことでしょう。
5年の活動期間中に祖国であるイギリスを中心に1902年の日英同盟を結んだことや第二次世界大戦ではその日本と戦ったことも当然キャッチアップしたと思われます。その中には、第二次世界大戦の日本軍の戦いとして、KAMIKAZE Attack(神風特攻隊)も含まれていて、興味を持ったのではないでしょうか。
その際にこの書物にも触れたと思われます。
この「葉隠」は1717年に佐賀鍋島藩の山本常朝の言説を田代陣基がまとめた武士道精神がまとめられている本です。
もっとも有名なのは「武士道とは死ぬことと見つけたり」の一説であり、第二次世界大戦の際に、「葉隠」は戦場に行く青年たちの覚悟をかためる書として、大いに推奨されていました。
キリスト教の教えでは自殺という概念がありません。ディオも当然そういう概念の中で生きてきたので、特攻隊の戦い方や思想には驚いたはずです。
またジョナサン・ジョースターの末裔が日本にいるということもわかれば当然、ルーツである武士道にも興味を持ちます。実際に日本人である花京院典明にも接触していますし、エンヤ婆も虹村形兆や吉良吉影にも接触しています。(第4部)
その中で「葉隠」や新渡戸稲造の「武士道」にも触れたのではないでしょうか。
ちなみに葉隠の「武士道とは死ぬことと見つけたり」の正しい解釈は、毎日死ぬ気で頑張って生きろであって、言葉通りファナティックな意味に取ってはいけません。ディオはそっちの意味で捉えちゃったようですが、、、
ディオだって死ぬのは恐い
ディオはご存知の通り吸血鬼で不死身の存在ですが、太陽の光で死んでしまいます。さすがのディオも太陽の光で死ぬのは嫌なので昼間は外にでません。やはり死ぬのは恐いのです。とは言っても、太陽の光以外は肉体的には通常の人間を超越している為、人間に対しては上から目線です。
↑人間を見下すようになった原点
しかし、人間でもディオが恐れる死を超越した生物がいました。それが日本の武士でした。その流れを組む承太郎、花京院は武士ですし、ポルナレフに至ってはスタンドが剣士、洋物のサムライです。また、ディオはポルナレフ、アブドゥルは「ディオを倒すために自らの命をひきかえにしてもいい」と思っていると認めています。
そんな軍団が来たらそりゃ、恐い。
当時はインターネットもなく、伝聞情報しかはいってきません。人間は遠くにあるよくわからないものは巨大な存在に思えてきます。日本から死をも恐れない軍団が自分を倒しにやってくる。恐いでしょうね。しかもたまに念写されて自分の行動を監視されるわけです。
脳内での虚像は大きくなり、刺客の数と叱咤激励が増えるのは当然でした。気が弱い人間だったらアルコール量が増えたことでしょう。
結果的に、ディオは承太郎に倒されてしまいます。
ディオは死ぬ直前に
「俺は何かの為にに死んでもいいという覚悟ができていなかったということだ・・・だからほんのチョットのところで勝機がつかめない・・・・」
とダービーについて語ったことがブーメランのように戻ってきたことを実感して、実にツラい走馬灯を見たことでしょう。まるで某政治家のブーメラン芸のようです。
まとめ:今こそ葉隠を読んで戦おう
武士道は日本文化の根底にある大きな思想です。日本国民であれば、ご先祖様が武士だろうがそうでなかろうが武士道の影響はあります。
我々日本人のご先祖様はあのディオでさえ恐れたぐらい立派な方々でした。
皆さんも日常生活において各々の舞台で強敵と戦っていることでしょう。時には時間すら止めてしまうような強敵もいるかもしれません。そんな時は、葉隠を読んで我々祖国のルーツである武士道と戦争で亡くなった方々の想いを胸に最後まで諦めずに戦いましょう。
オマケ
三島由紀夫の葉隠入門が読みやすくていいかもしれません。
あわせて読んで欲しい
ジョジョは4部を虹村億泰の成長物語という切口でみるとまた変わって見えてきます。こちらもあわせてお楽しみください。
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