こんにちは、taikiです。
ドラゴンボールの名脇役にクリリンがいます。
亀仙流に入門した頃から悟空と一緒に修行をして、強くなっていった戦友です。そんな亀仙流同期のクリリンもストーリー中盤からは強さのインフレについていけずに主戦力からは外れていきますが、機転のきいた技や行動で単純な強さ以外の部分で活躍しました。
しかし、クリリンの行動の中で謎の行動が1つあります。
セル編で18号の緊急停止スイッチを押さずに破壊してしまったことです。
後にクリリンと18号は結婚して家庭を築きますが、その当時はクリリンの一方的な一目惚れでしかありません。そんな実るかどうかもわからない恋の為に、18号の緊急停止スイッチを破壊し、地球の運命を危険に晒すことなんて常識では考えられません。
これまでに何度も危機を救う活躍をした冷静に思考できるクリリンが、なぜあんな行動をとったのでしょうか。クリリンの活躍を振り返りつつ、18号の緊急停止スイッチを破壊したことについて考察してみようと思います。
クリリンの活躍シーンを振り返る
クリリンの頭脳派である一面が垣間見えるシーンを見ていきましょう。
サイヤ人に一矢報いたかもしれない気円斬の開発
クリリンの代表的な技と言えば気円斬です。
さすがのベジータもセコンドとして指示を出さないとマズイと判断して、珍しくナッパにアドバイスをしました。
ナッパもよけなかったら真っ二つに切り裂かれていたことでしょう。
戦闘力で劣っていても倒せる可能性を秘めた技を開発してくるのは流石です。
ピッコロや悟飯が気円斬の存在を知っていて、事前に打ち合わせして作戦を練っていたらナッパに気円斬で勝つことはできたかもしれません。
ドドリアに太陽拳を見舞った臨機応変かつ柔軟な対応
ナメック星編では、ブチ切れた悟飯の後始末を見事にやってのけます。
ドドリアが追いかけてた際に戦っては勝てないと判断したクリリンは、逃げることを最優先させて太陽拳を使いました。
これは目的を見失わずに現状分析から柔軟に判断した結果です。
これは、天津飯の記事で用いた臨機応変・行き当たりばったりマトリックスを使うとこうなります。
悟飯を最長老の元に連れて行くという冷静な判断
さらにナメック星編では、悟飯を最長老の元に連れて行くという的確な判断を下しています。
悟飯を最長老の元に連れて行かなければ、グルドにすら勝てなかったのではないでしょうか。
また、最長老に力を引き出してもらえていなかったらセル編でスーパーサイヤ人になるのが遅れていたかもしれません。後のストーリーを考えるとクリリンの判断は素晴らしい結果をもたらしました。
なぜ18号の緊急停止スイッチを押さなかったのか
これまでの説明で、いかにクリリンが頭脳派として貢献してきたかはご理解いただけたことでしょう。では、本題の「なぜクリリンは18号の緊急停止スイッチを押さなかったのか」に関して考えてみましょう。
クリリンはいじめられっ子だった
↑このキャラを覚えているでしょうか。
最初の天下一武道会で出てきたクリリンの元・兄弟子です(名前は忘れた)。亀仙流に移籍する前の道場の恐い先輩であり、ずいぶんとクリリンのことを可愛がり(≒いじめ)ました。
クリリンは、恐い先輩をみて当時を思い出して弱気になってしまいます。クリリンのその後の活躍を知っている我々からすれば、なんてことのないエピソードかもしれません。しかし、当時のクリリンからしたら大問題です。大人になると学生の頃の恐い先輩はなんともありませんが、中学生当時はやっぱり恐いものです。クリリンは亀仙流で学んだことをぶつけることによって、この先輩にいじめられたトラウマを克服しました。
クリリンが亀仙流で強さや仲間といった多くのものを得ることが出来ましたが、その中の1つは過去のトラウマからの開放による心の自由でした。
心の自由は地球の運命よりも重い
話を18号の緊急停止スイッチに戻しましょう。
17号、18号はドクター・ゲロが緊急停止スイッチを押すのを恐れていました。17号がドクター・ゲロによって目覚めさせられた直後に緊急停止コントローラーを破壊したのはその表れです。
そして、クリリンが持っている緊急停止コントローラーを見たときの18号のこの表情からもその驚異がわかります。
クリリンは、緊急停止コントローラーによる恐怖支配が、過去の兄弟子達の可愛がり(≒いじめ)に重なって見えたのではないでしょうか。もちろん18号に一目惚れをしてしまったというのもあったでしょうが、さすがにそれだけの理由で地球を危機に晒するのはバランスがとれません。クリリンほどの頭脳派キャラがその場の感情で動くことは考えにくいです。
緊急停止コントローラーをクリリンが持つことによって、自分がドクター・ゲロの役目をしようとしている。即ち、昔の恐い先輩の立場に自分がなろうとしている。人間らしさも持っている人造人間に更生の機会を与えずに、力で捻じ伏せてはあのどうしようもない先輩と同じです。
力によって強引に心の自由を奪うようなことは亀仙流のやり方ではないと考えたのではないでしょうか。
クリリンは緊急停止スイッチを押さないことによって、地球の運命よりももっと大切なクリリンと18号の心の自由を守ったのです。その後、守った心の自由が惹かれ合うのは自然な流れでした。
まとめ:あなたの心は自由なのか
ドラゴンボール全編を通じて共通している一貫してブレない事が1つあります。
登場人物に心の自由を奪われたサラリーマン的(いわゆる社畜)な苦悩を持ったキャラがいないことです。
フリーザ軍という組織に属していても心が自由な悪役は多かった。ギニュー特戦隊だって、ドドリアだって、ザーボンだってフリーザ軍に属してはいましたが、上司(フリーザ)の顔色を伺ってまで何かをしようとは思っていませんでした。レッドリボン軍だってそうですし、魔族だってそうでしょう。
鳥山明先生がドラゴンボールを通じて表現したかったことの1つは心の自由なのではないでしょうか。
いろんな戦士が強さを求めて修行するその姿は、心を自由にして好きなことを追求する求道者そのものでした。心を自由にしてこそ、あなたの冒険が始まるのでしょう。
以上、少年漫画大人斬りでした。
続編であるドラゴンボール超もおすすめです。
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