こんにちは、taikiです。
最近ジョジョ4部読み直しました。3部に続き承太郎が登場しますが、ストーリーの主軸は仗助を始めとする若者である高校生です。
脇役でも岸辺露伴といった作者の分身(本人は否定)と思われるキャラや最強の吉良吉影といった多くの個性的なキャラが登場し、ストーリーに緩急をつけて飽きさせない構成になっていますね。
その中でも私が注目したのは、仗助の友人である虹村億泰です。
3部で言えばポルナレフ枠のおバカキャラで、思考や決断が苦手で精神的に未成熟な面が引き合いに出されます。そんな億泰も4部の終盤には立派に成長します。その成長していく億泰の姿は、名もない肉体労働者であるドカタの職人さんが、自分のビジネスモデルを持ち、困難を乗り越えてエグゼクティブと呼ばれるようになる過程に重なって見えました。
自我に目覚めて肉体労働者からエグゼクティブに成り上がる様子を見つつ、億泰が乗り越えた壁について考えてみましょう。
虹村億泰がスタンドドカタからスタンドエグゼクティブになるまで
最初はスタンドドカタの脇役だった
虹村億泰は絶対的な存在である兄、虹村形兆に仕える弟として登場します。
この時点では兄の持ち駒の1つに過ぎない肉体労働者、ドカタです。ボスキャラとの戦いではやられてしまうキャラ筆頭でしょう。
兄の敵との再会で自我に目覚める
そんな兄をレッド・ホット・チリ・ペッパー(以下RHCP)に殺されてしまい、仗助と行動を共にすることになります。そして迎えたRHCP戦では、一度は追い詰めるも頭脳戦、心理戦で敗北し、RHCPを逃してしまいます。
大事なところで思考停止になってしまい、意思決定を投げてしまいました。
ここで学びます。兄を超えるために遂に目覚めました。自分が今まで頭を使わないドカタで肉体労働しかしてこなかったことに気付きます。
状況に追い込まれた勝手に思考を始める
そしてRHCPに再会した際に、億泰なりの頭脳プレーをします。
スピードワゴン財団の人間に変装したRHCPを見破るシーンがこちら。ここでも決断に対する苦手意識が読み取れます。
結果、2人とも殴るという策を捻り出します。何も考えずに1/2の確率にかけるよりも確実にRHCPを倒せる作戦でした。
良くも悪くも億泰らしい機転の効いた頭脳プレーでした。
重ちーとの出会いで副業をやってみる
頭脳プレイが徐々に出来るようになってきた億泰は、重ちーとの出会いでビジネスを学びます。
仗助が持ちかけたアイデアを応用させて宝くじを回収するように億泰が重ちーに頼みました。
自分で考えて、人を動かして何かをしようとするのはドカタ的な発想ではなく起業家的な発想です。いきなり大きなことをやろうとせずに身の回りの小さなチャンスを形にしようとするあたりは、リスクを抑えた現実的な形で好感が持てます。
そして億泰はスタンドエグゼクティブになった
そして吉良吉影との最終決戦で、億泰のその後の人生の方向性を決定づける事件が起こります。億泰は吉良吉影にやられて生死をさまよっている際に、兄形兆に会う夢を見ます。
兄について行こうとする億泰でしたが、最終的には自分の意思で杜王町に戻ることを決断しました
遂に億泰は自ら考えて、意思決定を行ったのです。この時、億泰ははじめて自分の人生が開けました。ドカタ卒業です。エグゼクティブは言い過ぎかもしれませんが、スタンドフリーランスぐらいにはなって心の自由は獲得出来たのではないでしょうか。
この戦いでジョジョの奇妙な冒険4部は終了しますが、本当の意味での心の自由を獲得した億泰の奇妙な冒険はここから始まったのでしょう。
金持ち父さんフレームワークで億泰を読み解く
突然ですがロバート・キヨサキの金持ち父さん貧乏父さんはご存知でしょうか。ロバート・キヨサキが本の中で述べているフレームワークが今回の億泰の状況を説明するのにとってもシックリ来るので用いたいと思います。
人の働き方には4つの方法があります。それが下記の4つです。
- Employee:労働者
- Self Employee:自営業者、フリーランス
- Business Owner:ビジネスオーナー
- Investor:投資家
億泰は最初はEmployee:労働者でした。ドカタであり、サラリーマンであり、雇われの身です。しかし物語の終盤に兄を超えることを目指し、遂に労働者から脱却しました。Self employeeもしくはBusiness Ownerになりました。
私は、この4つを意味合いが大きく異る部分で線引をするとすれば、Employee(雇われる側)とそれ以外の部分(雇う側)だと考えます。雇われる側と雇う側では抱えるリスクも見える景色も大きく異なりますし、得られるリターンも同様に大きく異なります。リスクがある変わりに自由で裁量も大きいです。
ここの壁さえ突破してしまえば、億泰のように学校の勉強が苦手でも関係ありません。勉強が苦手なら必要なタイミングで得意な人の力を借りればいいのです。
まとめ:ドカタからの脱却は思考と意思決定
杜王町では悲惨な事件が起こりましたが、その裏で若者の大きな成長もあったことはせめてもの救いでした。
承太郎は吉良吉影との戦いの最後に、康一にこんな声を掛けました。
最後に康一の好アシストで助かりましたし、成長したのですが、私からしたら億泰のドカタからの脱却こそがジョジョ4部のメインテーマなのではと考えました。
虹村億泰の成長を通じて作者である荒木先生が伝えたかったことは「自分で考えて、自分で決めろ」という実にシンプルな人生の大原則なのではないでしょうか。
スタンドという特殊能力があっても意思決定は大変ですし、思考停止状態に陥ってしまうことはあるでしょう。どんなに才能に恵まれているように見えてもあなたと同じような苦労をしているものですし、自分が凡人で億泰のように頭が悪いと思っていても実際に頭を使ってみると意外と動くものです。
ぜひ、億泰のように自らの頭で考えて、意思決定をして、自分の人生を切り開いてください。
おまけ:虹村億泰の元ネタ
これは私の憶測であり、ネットでも見たことのない切り口なのですが、虹村億泰に課された課題というのは、長渕剛のCaptain of the shipなのではないでしょうか。
この曲の発表が1993年、ジョジョの第4部連載が1992-1995年です。曲の最後の方で、「お前が決めろ、お前が決めろ」と連呼するあたりの強いメッセージにインスパイアされて、虹村億泰の自分で決断して杜王町に帰ってきた部分につながるのかなぁなんて思ったりしました。
あくまで私の勝手な憶測です(笑)
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ジョジョの名言の中に「質問に質問で返すな」があります。ここに隠れたコミュニケーションの原則を学びましょう。
コメント
[…] ジョジョは4部を虹村億泰の成長物語という切口でみるとまた変わって見えてきます。こちらもあわせてお楽しみください。 […]